HUYŪ LETTER
#09
一日の終わりに、
まだ残っているもの。
いつのまにか
この手に抱えていた、
大きくて、重たいもの。
手放せはしない。
ただ、今夜は、
重力を少しゆるめてみる。
いつもより少しだけ、
自分から遠いところへ。
お気に入りの香りを、
枕元に。
目をとじて、
静かに息をする。
すると世界は、
やわらかな香りだけ。
まぶたの向こうに
静かに届く、月の光。
今夜は、そのまま
遠くに浮かべておく。
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「遠くに浮かべておく香り」
抱えたものを、無理に手放さなくていい。重力を少しだけ、ゆるめるための香り。